近視進行抑制治療(レッドライト療法)

近視について

近視について世界保健機関(WHO)は、2050年までに2人に1人が近視になると推計しています。特に高度な近視の場合は、視力喪失、黄斑変性症、網膜剥離緑内障などの眼疾患に発展する可能性があるなど永久的な失明の主要原因の1つとされています。
近視は眼球が楕円形に伸び(眼軸長が伸びる)ピントの位置がずれることで生じる軸性近視のケースが多く、一度眼軸が伸びてしまうと、戻ることがありません。そのため、眼軸の伸びを抑えることが近視の進行を抑制するうえで重要です。

治療に使用するデバイスについて

Eyerising(アイライジング)近視治療用機器はオーストラリアのEyerising International社が製造する近視進行抑制治療(レッドライト療法)に使用するデバイスです。
<メーカーHP>https://www.eyerisinginternational.com/メーカーHP
本デバイスは国内では未承認の医療機器です。
自宅でインターネットに接続して使用するため、Wifi環境が必要です。

Eyerising近視治療用機器は近視進行抑制に有効で あることが海外での臨床試験で証明されており、治療スケジュールの遵守率が高かった症例では近視の進行を87.7%の抑制効果を示したことが報告されています。

治療に使用するデバイスについて

適応条件

年齢:3才~16才
対象:軽度近視~強度近視眼

禁忌(施術ができない場合)

  • 斜視による両眼視機能異常がある場合
  • どちらかの眼に屈折異常以外の異常、その他の全身的な異常がある場合
  • 遺伝性網脈絡膜疾患、スターガルト病、網膜色素変性症、黄斑ジストロフィーなどの家族歴がある場合
  • 光治療に対する過敏症がある場合
  • 瞳孔散大(散瞳)のある児童、またはアトロピン、シクロペントラート、トロピカミドなどの瞳孔散大を引き起こす可能性のある薬剤を投与した後は本機器を使用しないでください。
  • 低濃度アトロピン点眼治療との併用はできません。低濃度アトロピンをおこなってる患者は治療開始までに14日間以上の休薬が必要です。
  • オルソケラトロジーとの併用は可能です

有効性

Eyerising近視治療用機器

  • 本デバイスはダイオードを通して650nm±10nmの低レベルの単一波長のレッドライト(赤色光)を放射します。この光は瞳孔を通って眼底に届き、眼底の血流を促進して代謝をあげることで、眼軸長の伸 びを緩やかにし、近視の進行を抑制することができます。

安全性

  • IEC 60825-1:2014 規格のクラス1相当のレーザー製品で網膜への熱障害を起こさない為、眼球への直接照射は安全であると考えられており、海外で臨床試験においてレッドライト療法は良好な忍容性を示しました。
  • 短期的な副作用として、治療後に一時的にまぶしさ、閃光盲、残像が生じることがあります。通常、治療後に3分間程度目を閉じることでこれらの症状は消失します。また、治療回数を重ねることで症状の持続時間は短くなると言われています。
    治療後にまぶしさ、閃光盲、残像などの症状が5分を超えて続くことが3回以上あった場合は本デバイスの使用を中止し、処方医の指示に従ってください。
  • 治療中に光過敏症、眼刺激、眼熱傷などの不快感が生じた場合は、本デバイスの使用を中止し眼科医に相談してください。
  • 実臨床下において、本治療によって網膜障害と視力低下をきたした症例の報告が、7万5000人のうち5件にあたる0.0067%あります。光治療に対する過敏症がある場合に起こる稀な有害事象と推察されており、治療中止数か月後に症状が回復したと報告されています。
  • 本治療は近視の進行を緩やかにする事を目的としており、近視進行を完全に止める治療ではありません。
  • 3~8歳までのお子様の場合は、必ず保護者の監督のもとで本デバイスを使用するようにしてください。
  • 本デバイスから照射されるレッドライトを目に当てることで治療効果が得られます。
  • 1回の治療時間は3分間で、治療中はできる限り目をあけて赤色光を見る必要があります。
  • 1日の治療回数は2回で、1回目と2回目の治療間隔は4時間以上空ける必要があります。(1患者当たりの1日の治療回数は最大2回に制限されています。)
  • 1週の治療日数は5日間が推奨です。(1週のうち、合計10回の治療が可能ですが、治療の習慣化のための推奨となります。)
  • 本デバイスは上記の規定の照射時間、照射回数を超えて使用できないように設定され、照射後は4時間ロックが掛かります。

治療開始の流れ

Step1

デバイスを当院から貸与いたします。(第三者への譲渡、貸与、転売は禁止)

  • 万一、動作不良があった場合はメーカーへ返品するため、デバイスの梱包箱等は 破棄せずに大切に保管してください。

Step2

デバイスをご自宅へ持ち帰り、梱包箱上部に貼付されているQRコードを読み取り、リンク先のページでユーザー登録を行います。その後、登録されたEメールアドレスにEyerisingカスタマーポータルサイトのリンク(https://portal.eyerisinginternational.com)が届きます。

Step3

ポータルサイトへアクセスし、始めに以下の流れで言語を日本語に設定します。
左メニュー「My Details」 ⇒ 「Language」 ⇒ 「日本語」を選択 ⇒ ページ最下部 「保存」

Step4

次に以下の流れでデバイス登録を行います。
左メニュー「ご利用中の機器」 ⇒ 「機器を登録する」 ⇒ シリアル番号を入力 ⇒ 「OK」

Step5

次に以下の流れで患者登録を行います。
左メニュー「患者」 ⇒ 右上「患者を追加」 ⇒ 患者情報を入力 ⇒ 「患者を保存」

Step6

次に以下の流れでサブスクリプション料金の支払い手続きを行います。
左メニュー「患者」 ⇒ 右メニュー「更新」 ⇒ プラン選択 ⇒ カード情報入力 ⇒ 「確定」

  • サブスクリプション料金の支払いはクレジットカード払い (JCBは不可) のみとなります。
  • 海外サイトへの支払いとなるため、クレジットカード会社へセキュリティーロック解除の申請が必要な場合があります。詳しい方法はご利用になる各クレジットカード会社へお問合せ下さい。
  • 患者登録は1台につき5人まで登録が可能です。(人数分のサブスクリプション料金の支払いが必要です。)

Step7

全ての手続き完了後、ご登録されたEメールアドレスに治療時にデバイスに入力するユーザー名・パスワード情報が届きます。

Step8

デバイスをインターネットに接続し、デバイスにユーザー名・パスワードを入力して治療を開始します。治療スケジュールの遵守状況(コンプライアンス)はインターネット経由でポータルサイトへ反映されます。

Step9

治療後は3分間程度目を閉じて休むようにしてください。まぶしさ、閃光盲、残像などの症状が5分を超えて続くことが3回以上あった場合は、本デバイスの使用を中止し、処方医の指示に従ってください。

Step10

治療開始後は必ず定期検査を受診してください。定期検査では視力、眼軸長、コンプライアンスの状況、眼底の状態などを確認します。

治療に関する費用

本治療は自由診療となるため、保険診療は適応されません。

<当院受付へ支払う金額>検査費・治療費(現金,クレジットカードとも使用可)

初年度 適応検査 ¥11,000 (税込み) 視力、*スリット検査、眼軸長、*OCT検査などの検査費用
治療費
検査費
¥165,000 (税込み)
2人目以降¥55,000
デバイス貸与+治療開始後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月の計5回分の検査費用

2年目以降 検査費 ¥5,500 (税込み) 1来院ごとの検査費用(6か月毎を推奨)

*スリット検査:角膜や結膜、水晶体、虹彩などの前眼部といわれる部分を観察する検査です。
*OCT検査:光の干渉性を利用して眼の奥の網膜や血管などの微細構造を画像化する検査です。
*使用者側の都合で治療を中断する場合、治療開始後1か月以内であれば初年度治療費、検査費の一部を最大50%返金しますが、それ以降での返金はできませんのでご留意下さい。

<メーカーへ支払う金額>サブスクリプション料金(クレジットカードのみ)

サブスクリプション プラン 毎月払い ¥8,250(税込み)
1年分一括払い ¥89,100(税込み)-10%減額
2年分一括払い ¥158,400(税込み)-20%減額

※お支払い完了後はサブスクリプション料金の返金は受けられません。(返金保証トライアルを除く)
※サブスクリプション料金の支払い手続きでエラー等が出る場合はクレジットカードへお問合せ下さい。

<第1子がデバイス貸出を受けている場合の第2子以降の治療にかかる金額>

初年度の適応検査、2年前以降の検査費、は第1子と同額ですが、デバイスの貸与費の負担がなくなるため、初年度の検査費治療費の165,000が55,000円となります。
※サブスクリプション料金は利用者ごとに登録しないと必要な照射回数が出ないため、メーカーに支払う金額は第1子と同額の費用がかかります。

1か月間使用した後に治療の継続を希望されない場合、以下の条件を満たしている場合に限り、メーカーからサブスクリプション料金の返金が受けられます。

治療開始前と治療開始1か月後の検査データ 「屈折値」、「眼軸長(測定機器がある場合)」が得られており、受診した医療機関を通じてメーカーへ共有されることに同意している
サブスクリプションプランは「1年分一括払い(返金保証トライアル)」、または「2年分一括払い(返金保証トライアル)」を選択している
※上記以外を選択された場合は返金保証トライアルの対象外となります
治療開始から1か月までのコンプライアンスが75%以上である
※コンプライアンスはポータルサイトで随時確認ができます
梱包箱、デバイス本体に汚れや傷がない状態で医療機関に返品している
返品されたデバイスが正常に作動していることを医療機関が確認できている
サブスクリプション料金の支払いから2ヶ月以内に医療機関へ返金の申出をしている
  • 上記の条件を満たした場合、メーカーからサブスクリプション料金の全額が返金されます。
  • 2か月以降の中断は返金されません。

デバイスの保証

  • デバイスの耐用年数、保証期間は製造から5年間です。
  • 耐用年数経過後も治療継続を希望する場合は、新しいデバイスを無料で提供いたします。
  • 保証期間中に正しい方法で使用したにもかかわらず、製品の故障が発生した場合は、保証が受けられます。
  • 以下の事由により故障が発生した場合の修理は保証の対象外となります。
    ・損傷、落下、機械的な損傷、水の浸入など、偶発的な要因や人的な要因などによる故障
    ・不可抗力(落雷、地震、火災、その他の天災)による損害
  • デバイスに貼付されたステッカーが取り除かれたり、拭き取られたり、こすり取られたり等、変更されている場合も保証の対象外となります。
    ※製品の保証に係る最終的な判断はメーカーが決定する権利を有しています。

受診医療機関を変更される場合

  • 転居などで受診する医療機関を変更される場合はデバイスを返却していただく必要がありますので必ず当院までお申し出ください。その後、次の医療機関が設定する費用のもとで新たにデバイスの貸与を受ける必要があります。ご了承ください。
    尚、サブスクリプション期間が有効の場合は、メーカーへ依頼し新しいデバイスに引継ぐことが可能です。

短期留学などで海外へ持ち出しする場合

  • 本デバイスは100V~240Vまでの電圧に対応していますので、ほとんどの国で使用することが可能ですが、渡航先のコンセントに対応する変換プラグが必要です。
    なお、渡航先への持ち込みが可能かは、事前にご自身で航空会社(旅行代理店)への問い合わせや、各国の制度の確認が必要となります。回答に時間を要する場合もありますので、期間に余裕を持ってご確認ください。

治療を中断する場合

  • 何らかの有害事象により医師の判断で治療の中断が必要とされた場合は速やかに治療を中断してください。治療開始6か月以内に治療継続が困難と判断された場合は治療・検査費の最大50%返金いたします。
  • 使用者側の都合で治療を中断する場合、治療機器は医療機関へご返却ください。未承認医療機器のため、第三者への譲渡、貸与、転売は法的に禁止されています。治療開始後1か月以内であれば初年度治療費、検査費の一部を最大50%返金しますが、それ以降での返金はできませんのでご留意下さい。メーカーへのサブスクリプション料金についても別途に解約手続きを行ってください。

レッドライト治療のご予約はこちら


*近視抑制器具は適応検査で問題がなければ注文し、約2週間で当院に届いてからご自宅にお持ち帰りいただきます。

よくある質問

近視治療用機器での治療は保険適応ですか?

未承認医療機器のため、保険は適応されません。

1日1回しか治療できなかった場合はどうすればよいですか?

治療を習慣化するため、推奨の治療スケジュールを1日2回、1週間あたり5日間と設定しておりますが、1週間のうち合計10回までの治療が可能です。1週間で計10回の治療となるように計画して治療を行いましょう。

推奨スケジュール
 
1回目 ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎
2回目 ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎

例えば、下記のようなスケジュールでも治療可能です。

 
1回目 ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎
2回目 ⚫︎ ⚫︎ ⚫︎

治療開始日はいつが起点となりますか?

ポータルサイト上でサブスクリプション料金のお支払い手続きを完了された日が治療開始日となります。
治療開始日を起点として、「1週間」のカウントがスタートします。尚、「1日」は日本時間の午前0時~午後12時59分59秒と設定されています。

治療は必ず登校前と下校後のタイミングでなければいけませんか?

4時間以上の間隔を開けていただければ、治療のタイミングに決まりはありません。治療スケジュールが組みやすい時間帯で計画してください。
例えば、下校後に1回目の治療を行い、お夕食後に2回目の治療を行っていただくことも可能です。

治療の途中で停電やWi-Fiの檀線が起こった場合はどうなりますか?

治療が開始された時点で1回のカウントとなります。再起動しても4時間経過するまではご使用いただくことができません。

使用中のデバイスの不具合・故障があった場合はどうすればいいですか?

事前にご連絡の上、クリニックへお持ちください。

デバイスに付属している取り扱い説明書には、「2年を超えて本機器を使用しないでください。本機器の最大安全使用期間は2年間です。」と記載されていますが、2年を超えての使用は出来ませんか?

ヨーロッパCEマークは、2年間の臨床データに基づき取得しているため、取扱説明書には上記の記載がございますが、今後実臨床での使用年数に応じて延長される予定です。

TEL:03‐3235‐4146
アイクリニック大井町 アイクリニック千葉
よつかいどう眼科 ファミリークリニックひきふね
アイクリニック南町田科 アイ&スキンクリニック東京ソラマチ